2025年12月23日火曜日

JASDの2025年年次大会について

 JASD(日本解離研究会)の年次大会が12月14日にあったのでそのことについて忘れないうちに書いておきたい。今年は市ヶ谷のアルカディアでの開催であった。特別講演に内海健先生をお招きし、また学術講演は野間俊一先生、ケース報告は松井浩子先生が担当し、最後はシンポジウムで盛り上がった。全体としていい会であったと思う。参加者もオンラインを含めて200名近くあったと聞く。
私としては身近に感じていながら一度も学会での発表を聞いたことがなかった内海先生の講演が効けたことが一番の収穫であった。今、精神病理学会ではASD(自閉症スペクトラム症)の研究が盛んであるというが、内海先生の「自閉症スペクトラムの精神病理」(医学書院、2015年)をこの大会を前にして読み、初めて精緻なASD論の存在を知ったという経緯がある。そしてこれが英訳されて海外に知られていないことを非常に残念に思った。柴山理論にせよ、野間理論にせよ、日本には世界に知られていない研究業績が山のようにある。近い将来日本語で発表されたものがすぐさまAIにより英訳され発表されるという時代が来ると思うが、それを待ち遠しく感じる。
しかしそれにしても、柴山先生、野間先生、そして私のグループがもう20年近くこの会を12月の第2日曜日に開き、徐々に年齢を重ねていくことに不安を感じる。柴山先生も後の懇親会で言っていたが、今後解離に興味を持つ若手にぜひ参加して欲しいと願う。