2021年5月26日水曜日

母子関係の2タイプ 7

母子関係の二タイプ
 土居の議論はこのまま愛の二タイプを提示していることになる。私はそれを土居に代わって行っているだけだ。
「日本型」甘え(受身的愛 passive love)への反応性の高さに特徴づけられる。
 「西欧型」甘え(受身的愛passive love)への反応性の低さに特徴づけられる。
 ただしここでの「反応性」は生得的な部分と文化に由来する部分の双方を加味したものとする。ちなみにこのことは土居によれば自由と感謝の双方に絡んでくる問題として表現されていることは重要である。
 「感謝は恥を伴い、その恥はまた感謝の念を妨げると考えるらしい。そこで西洋人は恥の感覚を消そうとして、感謝をあまり感じないように、したがって受け身的愛を感じないように長年努めて来たのではないか。(p.96)」People in the West,however,as the Vives quotation suggests,seem to feel that thanks carry with them shame,which in turn hinders the feeling of gratitude. In the attempt to wipe out the sense of shame the Westerner,one might suspect,has striven for long years not to feel excessive gratitude, and thus passive love.(Anatomy of D, p.86)という土居の言葉は重い。なぜ西洋人は甘えを感じにくいのかに関する土居の考えが端的に凝縮していると言っていい。Rothbaumにより提起された敏感性仮説の問題は実は土居の言葉にその回答に向けてのヒントがあったのである。あるいは自由の感覚にしてもそうだ。日本の子供は昔からやりたい放題で、周囲はそれに対する条件を整えてあげたのだ。