2020年4月5日日曜日

Covid-19 と良識     揺らぎ 推敲 35

Covid-19 と良識 1

 昨日は東京で118名の新しい患者が見つかったという報告があった。日を追うごとに増える患者数。いったい私たちの日常はどうなっていくのかという不安。それでもなるべく良識的にこの問題について考えたい。
 都市封鎖という手段が感染爆発に本当に有効なのだろうか。私自身は疑問を持つ。人が出歩くのを止めることにはおそらく感染拡大を止める力はそれほどないだろう。問題は外出した人々が密閉空間で時間を過ごすことをいかに止めるか、の方である。
 都市封鎖、外出禁止という方針の問題は、結局人が家に家族とともにこもることを促進することである。先ほど見た記事で、イタリアの感染拡大のかなりの部分が、家族への感染ということだった。ということは外出禁止という措置がそれを促していたということになる。関連記事 ↓
感染爆発の中国とイタリア、軽症者の自宅療養で拡大
https://www.asahi.com/articles/ASN437HCZN43UHBI02K.html?iref=comtop_8_02

 そのうえでおそらく必要なのは、陽性者を早く見つけ出し、隔離することだ。アパホテルが手を挙げているではないか。検査を早く、数多く実施して、陽性者はホテルへ。悪化した場合には病院へ。おそらくこれが感染者の拡大を防ぐ最善の方策だろう。
 閉鎖空間で多くの客が集うような飲食店の閉鎖は必要であろう。しかし換気を十分に施した空間での密接ではない会合はいいのではないか。


揺らぎ推敲 35
では脳細胞はアイドリング状態で何をやっているのだろうか。それは脳細胞が、それまでの活動によって自分自身のほかの細胞との結びつきを書き換えるという作業を行っているのである。これを脳細胞の「活動依存性」という。すなわち自分の活動により自分自身を変える作業を行っているのだ。
この説明のために脳細胞のつながりの仕組みをもう少し説明しよう。すでにみたとおり、脳細胞はきわめて多くが集まり、それぞれが階層状のネットワークを形成している。そしてそのネットワークは可塑的であり、すなわちその結びつきが状況により太くなったり細くなったりする。
例えば左の図を見ていただきたい。11個の神経細胞がお互いにネットワークを形成している。しかしその結びつきは弱く、そのうちのどの連絡がより早く、強く行われるかは定まっていない(左の図)。ところがある経験をすることで、いくつかの細胞が同時に興奮し、そのうちの5つの結びつきがより強くなる(右の図)。神経細胞の結びつきはシナプス、と呼ばれているが、自分自身を変える、とは具体的にはシナプスの重みを強くしたり弱くしたりしているのだ。そしてそのためにはたんぱくを生産してシナプスを育てる必要があり、その作業を安静時にも常に行っているということになる。
神経細胞は何もしていない時にも自発的に信号を発信して、他の神経細胞とのシナプスの強度を維持しようとしている。神経細胞には、別の神経細胞と同時に興奮した時にはその細胞との間のシナプスを強くするという働き(いわゆるHebb )というのがある。それが先ほど見た11個の神経細胞のつながりを形成する。11個のうち5つの細胞は、ある外部からの刺激を受けて偶然に同時に発火したが、そのことでその5つの細胞の結びつきが強くなるという性質がある。他方では使わないシナプスはだんだん痩せていく運命にある。寝たきり老人と同じだ。
これを書いている間に、2019年に大阪でのG20のことが思い出される。19か国の首脳とEUの代表が一堂に会すると、お互いに行き来をして公式に、非公式に話し合いが行われていく。そこには思わぬ出会いや計画されなかった会話が成立するだろう。そして予想しなかった動き、たとえばトランプさんが急に北朝鮮に飛ぶ、という事まで決まってしまう(実際には水面下ですでにそうなっていたのかもしれないが。) 
神経の活動も、個々の細胞が決して休まることはなく、そこでは思いがけない結びつきが生まれたり、あまり注目を浴びなかった結びつきが徐々に失われて行ったりする。そしてこの個々の細胞の活動を少し強引に二次元平面に落とし込むと、揺らぎ、という形で表現されるというわけだ。