2024年12月12日木曜日

解離と知覚 追加情報

パトナム先生の教科書、PDFで持っていた! それと私が2009年に編集したリュミエール「解離性障害」も。早速情報を追加する。 

解離性障害における幻聴に関しては、諸家が様々に論じている。Putnam (1989) は解離性幻聴の特徴として以下をあげている。それは患者をけなしたり、自己破壊的な行動を起こすよう命令する。あるいは患者を第三者的に語り、思考や行動にコメントしたり、自分たちの間で論争をしたりする。あるいは小さい子供や幼児の泣き声を聞くが、時には指示やアドバイスを与える。また頭の内部ではっきり聞こえ、その意味で「二次過程」的であり、統合失調症に特有のあいまいで「一次過程」的な幻聴と区別されると述べる。またDIDにおける幻視は幻覚と錯覚の混ざったものであり、しばしば患者自身の身体イメージの変化を含んでいる。鏡で自分とは異なる人物を見出し、皮膚や髪の色、性別が異なったものとしてみることがある。また交代人格を自分の身体の外に存在するものとして知覚する。

Putnam, FW (1989) Diagnosis and Treatment of Multiple Personality Disorder.The Guilford Press. 

松本は解離性の幻聴が断続的であること、人格的な声によるもの、幼少時より持続している点を挙げ、また抗精神病薬に対する反応は弱いとする。

松本俊彦(2009)解離性障害と鑑別すべき疾患 専門医のための精神科臨床リュミエール20 解離性障害 岡野憲一郎中山書店 に所収