先に弁護士ドットコムニュースも述べたとおり、「中年男性がジロっと女性を眺めること」は犯罪にはならない。しかし問題はそれでは終わらない。それは見られた女性が不快感を感じているという事実は変わらないからだ。その意味でそれは(法に触れない範囲ではあるが)加害行為ということになる。そしてそれにはグラデーションがあると述べたが、これも問題の複雑さを増す。さらに「誰が」ジロっと見たかにより大きく事情が違ってくる可能性がある。私は「中年男性」に状況を設定したが、これは恐らく女性が誰に見られたら不快に感じるかということを考えると、若い男性や後期高齢男性に比べてやはりもっとも不快を感じるであろうと思ったからだ。
私の友人である和田秀樹先生は歯に衣着せぬ発言で知られるが、彼の正直さを私は好きである。その彼が「自分のような『●男』が女性に言ってもセクハラになるようなことを、若いイケメン男性が言ったら違うだろう」ということを「和田秀樹チャンネル」で言っていた。若いころから和田先生を知っている私は、かねがね彼のことをイケメン(だが自分はそれに気が付いていない)と思っていたので、この発言は意外であった。しかし彼の言うことには一理あるだろう。中年オヤジの視線を不快で侵入的に感じる女性が、自分が惹かれるであろう男性から同じような視線を投げかけられた場合の「不快度」(もしそれでも不快であった場合であるが)はかなり異なる、という事情が、この問題をさらに複雑にしている。私の印象ではフランス文化においては、男女のflirtation (イチャつき)にかなりポジティブな要素を見出しているようである。あー難しい。