2022年12月11日日曜日

発達障害とPD 2

  ところでDSMICDではこのPDDDの鑑別について何か言っているのだろうか? 彼らの「本音」を聞こうではないか。しかし実際に参照して見ても、あまりはっきりした回答は得られない。これらの診断基準は、両者をしっかり鑑別せよとも言わず、共存を禁じてもいないのだ。つまり雰囲気としては、「両者を混同しないでね、でも共存もアリだよ」という曖昧戦略である。

DSM-52013)では、ASDPDの中でもA群のシゾイドPDと統合失調型PDとの区別は難しいと認めている。ただしASDは社会的交流や情動的な行動及び興味の点でより障害されているとしている。またICD-112022)では長期的な経過を取る精神疾患もPDのような表れ方をするとし、その例として自閉スペクトラム症、スキゾイドPD, 複雑性PTSD 、解離性同一性症などを挙げたうえで、これらがPDと一緒に診断されることをあまり推奨していない。つまりASDとスキゾイドPDは共存することを薦められないとしている。こちらも歯切れが悪いのだ。そしてそれはそもそもPDは思春期前に診断すべきでないとしているからだ。なぜなら「子供は発達の中で自分たちと他者に関する知識や体験を重ね、それを統合してアイデンティティや自己の感覚を統合していく」が、そこに個人差も多く、そのために思春期以前にPDを決めることは難しいから、ということである。結局「PDは思春期以降に診断」という基準に固執した場合には、ASDPDはそもそも別物で共存しないはず、ということになり、ICDはその方針にも従っているということである。
 いずれにせよDSMICDPDDDとの共存をある程度認めていて、これは「両者が似ている」可能性を超えて両者が同一のものを見ているという可能性さえ示唆しているように思える。そして何よりも両者ともここら辺をぼかしているという印象をぬぐえない。これが問題なのだ・・・・・。