2012年8月9日木曜日

続・脳科学と心の臨床(73)


サバン症候群が示す脳の宇宙 (5

タメットの「抑制の低下、混線」仮説

次にタメット氏の説について検討したい。彼は自分自身のサバンとしての体験から出発していかに自分の頭脳が機能しているかを語る為に、きわめて説得力がある。その著書「天才が語る」から引用してみよう。
まず彼は自分の数学を通しての体験が言語的な体験と近いということを強調する。これについては、一昨日に紹介した。(数がいくつかの素数に分解される様子が、たとえば英単語がいくつかの部分に分かれるのと同じ感覚で生じるという。たとえば incomprehensibly が、in comprehend ible lyとに分かれる、という風にである。)タメット氏によれば、たとえば37×469という掛け算を見ると、それが6253+(111×100)であることが見た瞬間にわかる、というが、単語をいくつかの部分に分かれるのがすぐにわかるのと同じ感覚であるという。(私にはチンプンカンプンである。)
そしてタメット氏は、そもそも言語的な能力にはきわめて広範な知的能力を必要とすると説く。その意味でわれわれ全員がある意味では言語に関するサバンであるという。さて次のくだりが重要なので引用する。「自閉症や転換、統合失調症といった脳神経の症状は、脳の抑制レベルが低下し、本来なら独立している領域の間で異常な混線が生じた結果ではないか、と多くの研究者たちは考えてきた。」(p171)そしてそもそも共感覚が、そのような抑制の低下の一つの現れであるという。彼は代表的なサバンであるキム・ピークの例を出す。彼は生まれたときから脳梁が欠損していた。脳梁とはこのブログにも何度か出てきているが、左右の大脳半球の間に存在し、その交通を促進したり抑制したりする部分だ。そして彼の脳梁の欠損は、抑制の低下を生み、その結果として彼の大脳が情報を蓄積する力が飛躍的に増しているのだとする。二人の写真を出してしまう。珍しい二人のツーショットである。

タメット氏と故キム・ピーク氏

No Title (13)
In 2004, I came back to Japan and joined the Japanese Analytic Society. I was presenting papers many times in the analytic meetings in Japan from 1993 on, and I was already familiar with many Japanese analysts. As I graduated from one of the Institutes in the US which belong to the International Psychoanalytic Association., my status as an analyst was reciprocated; I was recognized as an analyst in Japan, except that I was given one year’s “adjustment period” before I was formally accepted to the Japanese Society.
Japanese Psychoanalytic looks well furnished and organized. Since 1990s when Japanese analytic community was asked to tighten up its training system to the level of other countries, the analytic system got well organized and educational program was very well organized. I had a chance to compare system in the US, especially TIP and GKC with Japanese one. Japanese analytic community is much smaller and homogenized. I soon came to learn that there is another training system in Kyoto (Kyoto Institute for Psychoanalysis an Psychotherapy)