2026年1月13日火曜日

ショアのメッセージ 2

  ICD-11(2022)に登場したCPTSDの概念はこの問題の理解を一歩進める役割を果たしたと言えよう。CPTSDは主として幼少時の(定義は必ずしもそうと限定してはいないが)頻回のトラウマによる長期的な影響に関する診断であり、主として単回性のトラウマによるPTSDよりさらに慢性的で深刻な、パーソナリティ全体に及ぶような状態をさす。  さてこのCPTSDの概念は、実は悩ましい問題を含む。単回性PTSDに比べ、CPTSDには解離症状がより特徴づけられるかと言えば、必ずしもそうではない。CPTSDの患者の一部は解離性障害を伴い、それらの人たちはより深刻な適応上の問題を呈することがわかっているが、必ずしもCPTSD=解離、というわけではない。ここら辺は 1990年代の Judith Herman のオリジナルのCPTSDと異なるところだ。(Herman の最初のCPTSDの概念は、CPTSD=DID+BPD+somatoform disorder であった。)CPTSDの問題はほかにもあり、そもそもCPTSD=PTSD+DSO(自己の組織化の障害)であるならば、CPTSDはPTSDの下位分類になるはずだが、別個に独立してあげられている。何となれば、長期の繰り返されるトラウマでパーソナリティの障害に至っている人々、という事であれば必ずしも明確なPTSD症状を伴わなくても診断されるという傾向がある。でも臨床的にはこのCPTSDは重要なんだなあ。