ちなみにJASDはもう無事終わってしまったのだが・・・・・。
ASDは機能性離断症候群ではないかという説を以前紹介したことがあった(Melillo R, Leisman G. (2009) Autistic spectrum disorders as functional disconnection syndrome. Rev Neurosci. 2009;20(2):111-31.)。要するに右脳不全と左脳の過剰な代償がASDの問題の本質という説がある。こうなってくるとΦの不成立と左脳の過剰機能とは相補的ということが出来るであろう。
ところで根本的な問題。いかにして別人格が生まれるのか。やはり一つの心から「別れる」と考えてしまうところが誤解が生じる理由であると思う。ジャネの第二法則(解離性障害と他者性、p34)で言うように、パーソナリティは本体とは別個に生まれるというのが現実なのだ。(ちなみにジャネの第一原則は、「催眠において表れるのは無意識ではなく、第2の意識である」というものであった)。要するに人間の脳はいくつものダイナミックコアを生み出す能力があり、実際にできては消えているのではないか?丁度真空の中を素粒子が生まれては消える様に。そしてそのうちどれかが選択されて結晶化する。一種のダーウィニズムだ。そしてそれは体験的には一つの人格が「助けて」と叫び、それに反応する形で突然現れるのだ。そのような形で初めてDIDに見られる独特で、創造的な人格のあり方も説明できるのではないだろうか?