2025年11月21日金曜日

特別寄稿 5

私はよくある論文を課題としてあらかじめ出し、それについて感銘を受けたり、疑問に思ったりしたところをいくつかチェックしておいて、付箋でも張っておいていただく。(このチェック項目は数個は用意しておいてもらう。)そして実際のセッションでは私なりにその論文のまとめみたいなものについて話した後は、1番から順にチェック項目を一回にひとつずつ発表してもらう。そしてそれについてディスカッションを皆で行い、私の方からもコメントする。これを時間の許す限り何週も行うが、だいたいは5週くらいで修了時間(90分程度)となる。これを一つの形式として行うので、皆の自発的な発言を待つまでの無駄な時間はない。勿論彼らに自発的に質問やディスカッションをしてもらえばいいのだが、効率としてはこちらの方がいいと思うし、また誰かの質問に関して、だれでも意見を言っていい事になっているので、いくらでも彼らは「自発的」に振舞うことが出来るのだ。そして彼らには「パス」の権限を与える。「私が言いたかったことをさっきAさんに言われてしまいました。ちょっと待ってください。」等という時は「じゃ、もう一周するまでに考えておいてください。」と寛容さと柔軟さを示す。さらには「この論文のことじゃなくても、このテーマに関する事なら、どんな質問でもいいですよ。先ほどのBさんの挙げたテーマについて考えることがあれば、それでもかまいません。というよりはその方が議論が深まっていいかもしれません」となる。

この方式のいいところは、平等に意見を言う機会を与えることが出来ること、そして出席者は課題となった論文を隅から隅まで読まなくても参加できるということだ。あまり恥ずかしくないような質問をすることが出来る程度にその論文を読む必要はあるであろうし、何と言っても質問をすることでディスカッションに参加するモティベーションになる。さらには全く読んでこなかった人でも、前の質問者に触発されて意見や質問を述べることが出来る。