2024年6月24日月曜日

PDの臨床教育 推敲 6

 ところで私はこのパーソナリティ機能として自己機能または対人関係機能の障害がある事という定義は、素晴らしいと思う。DSMのカテゴリカルモデルだと、mad,bad,sad つまり思考、行動、感情のうちのどれかの障害ということになるが、これだとそのどれにもまたがるPDがすぐ思いつき、これでは重複診断を誘っているようなものだ。それに比べて自己機能と対人関係機能の障害にはある種の相関関係がある。どちらか一方、と言いながら大抵は両方にまたがっていることが想像される。自分に自信がないと対象との関係も難しくなるし、また他人とうまく関係が結べないということがその人の機能を奪う程度の問題となるとしたら、自己機能をも削ぐであろう。

ところでこの自己機能のなかでの「志向性」とは何かということを語るためには、Cloningerさんの7次元モデル、ということを言わなくてはならない(と言いながら自分の整理のつもりで書いているわけだが。)

彼は、4つの気質、3つの性格というのを述べた。

気質:心気性、損害回避、報酬依存、固執 (生物学的、神経伝達物質に依存)。

性格:自律、協調、自己超越性  (環境要因に左右される)

面白い分類だが、結局残ったのはCosta,Goldberg などによる5因子モデルの方だ。ドーパミン、セロトニンなどの関連は面白いが、あまりエビデンスがないということで採用されなかったのであろうか。しかし彼の性格のうち自律や自己超越性は、自己機能に関係し、協調は対人関係機能に関係していたという意味では、パーソナリティ機能に関しては、Cloningerさんに大幅に依拠していたということになる。

つまりはディメンショナルモデルは大幅に7因子モデルや5因子モデルに依拠したということになるのだ。

ここら辺も納得できた。