2018年1月2日火曜日

M 推敲 3

これらについても説明も必要だろう。
まずDMNの機能をつかさどるのは、扁桃体、海馬、後部帯状皮質(PCC)、内側前頭前野(mPFC)。記憶の情緒部分は扁桃体から、時空的部分は海馬から来る。PCCはそれを統合してmPFCが実際にそれを回想する。このことからわかるとおり、DMNの基本は回想である。過去の出来事の痕跡は自発的に、自然と再生される。心は力を必要としない、アイドリング状態でいい。ここには意図的な要素は少ない。おそらくこの時に外からの刺激はないので、内発的な思考の流れ、ということが出来る。ポカーンとしている時、あるいは白日夢を見ている時、場合によっては解離状態の時???私たちの心はこのDMNということになる。何もしていないようでいて、ある発想がポン、と生まれるときもこのモードといっていいだろう。だから即興などの時も、ここが働いているらしい。ある情報によれば、ラッパーが即興でやるときの脳はこれだという。ジャズの同じだろうか。さてこの図では扁桃核、海馬が光っていないが、まあいいか。

それに比べてTPNは心がしっかり動いている。そこにはピントを合わせよう、という努力が伴う。これはたとえば映画や読書に夢中になっている時とは明らかに異なる。後者の場合は、刺激は絶え間なく流入してくるのでピントを合わせようという努力は必要ないだろう。ところがTPNは特別な外からの刺激はなく、そのために心がついDMNに行こうとするのにしっかり抵抗しているといった事態だろうか。TPNの際に働くのは、島(とう)、体性感覚野、前帯状皮質ACC、そして後背前頭前野DLPFCTPNでは内部感覚は島を通して、外部感覚は体性感覚野を通して体験される。その両方の体験に働いているのが、DLPFCである。とするとこちらでは感覚を研ぎ澄ます状態といえる。最近の研究では、この状態はいわゆるcentral executive network (中央処理ネットワーク)
ちなみにある研究では、注意を払っている時に瞬きをすると、その際にデフォルトに戻るということが分かっている。ある時間集中して意味を受け取った時に瞬きをし、脳を解放してまた次の区切りに備える、ということらしいのだ。だから私たちは必要以上に瞬きをするというわけである。Proc Natl Acad Sci USA 110, 702-706 (2012)
そこでついでにもう一つ出てくる項目があり、それがSalience network である。これはDNMTPNをつなぐモードということだ。ネットでこんな説明を拾ってみた。
「創造性が働くのはDMN,それを実行に移す際はTPN、そして、これらのネットワークを繋ぐのがSalience Network(主要ネットワーク)。つなぐ、というのが微妙だが、こんな図まで出ている。