私は本書(本にするつもりである)の多くの心得については、スーパーバイザーとスーパーバイジーの関係と、療法家と患者の関係を同類のものと考え、一緒に論じる傾向にある。しかしこの心得29については、主としてスーパービジョンにおける助言のあり方に限って考えてみる。もちろん精神療法においても療法家から患者に助言やアドバイスが与えられることはあるだろう。しかし通常の精神療法においては、療法家の主たる役割はそれらとは本質的に異なるものと考えられるため、ここではスーパービジョンにおける話に限定しておくのである。
(以下略)