2022年12月15日木曜日

神経ネットワーク 4

 神経ネットワーク=脳なのか

さて皆さんの中にはさっそく混乱してきている方がいらっしゃるだろう。「え?神経ネットワークって、結局脳のことなの?」

私がローゼンブラットのパーセプトロンの話を前回書いた時(実はまだ書いていない)、それはあくまでも脳の神経細胞をモデルにしたものであった。それを膨大なサイズに広げたものが神経ネットワーク、というわけだが、ではそれは「脳」の等価物なのだろうか?だって「神経」というからには脳細胞のことだろう。だったら「神経ネットワーク」≒脳、ということでいいじゃん。

この点については私も疑問に思い、素人なりに調べてみたのだが、よくわからない。しかしなにか識者の間には「神経ネットワーク≒脳」という了解があるかのようである。しかし断じてそうではない。当たり前である。
 脳はあくまでもブラックボックスなのだ。しかしその組織を研究してみると、どうやらそこに見えてくるのは神経細胞と神経線維ということになる。これらの要素以外には脳の機能に関与していない様なのだ。(実は最近はグリア細胞が情報伝達に関与しているらしいことが分かり、大騒ぎである。)だから脳は結局は神経細胞と神経線維からなるある種の情報網としていいのではないか、ということになるかもしれない。でもそれは正しくない。なぜかと言えば、脳は生体であり、それは必ず揺らぎを伴っているからである。神経細胞と神経線維の間のつなぎ目の多くが「つながるか繋がらないか」で揺らいでいるのだ。
 例えば神経細胞Aと神経細胞Bが神経線維でつながっている、とする。それは模式図的に書けば、
ABであり、ABが一本の線で繋がっているという状態であろう。ところが実際にはAにはそれ自身がとてつもない数の神経細胞からの入力を受けており、またBA以外からとてつもない数の入力がある。またAからBという経路とBからAという経路は、別々に存在することになる。(普通神経線維の情報の伝達は一方向性である。)その上でAからの神経線維はBに繋がっていたり、切れたり、で揺らいでいる可能性がある。つまり「半繋がり状態」でいる可能性が高い。ここがパソコンなどの回路と決定的に違うのだ。

 皆さんは芸能人の名前などで、時々思い出すが、だいたいは忘れているものがあるのではないか。明確に記憶している名前とうろ覚えだったり顔しか知らない人の名前があり、その間には膨大なグラデーションがあるわけだ。(私の場合は、例えば「星野源」さんの名前がどうしても思い出せず、日によって思い出せたり思い出せなかったりする。)別に政治家でも地名でも何でもいい。Aが別の入力を受けている時Bに繋がりやすい、ということがある。Aさんの顔を思い出しても彼の名前(a)が思い出せないことがあるが、Aさんの声を同時に聞くことが出来たらすぐa が浮かんだのなら、Aa のつながりは「半繋がり」だ。なぜならつなぎ目のシナプス部分は揺らいでいるからなのである。(この回の部分は完全にボツだろう。読者が付いてこない。)