色々調べるうちにやはりO. Kernberg の1999年の論文もぜひ言及する必要があると思った。
Kernberg OF. Psychoanalysis, psychoanalytic psychotherapy and supportive psychotherapy: contemporary controversies. Int J Psychoanal. 1999 Dec;80 ( Pt 6):1075-91
彼の言い分には少し反対の部分があるが、大枠は理解できる。彼はPRPの結果に従って分析的な治療を「psychoanalytic modalities of treatment 精神分析的な様式の治療」
と呼び、その中を精神分析、精神分析的精神療法、精神分析を基盤とした支持的精神療法 psychoanalitically based supportive psychotherapy に分類する。彼の論文の特徴は、週2回までは彼の言う精神分析的な治療の根幹部分として半世紀前から同じ主張をしているということだ。そして彼の言う真に「分析的」な治療とは、「解釈、転移分析、技法的な中立性」(1079)を重んじるということである。そしてそれは精神分析、分析的精神療法に当てはまるというのだが、この後者は少なくとも週2回以上としているところが、ちょうど藤山氏の主張と通じるところだ。そして週一回だと恐らく支持的精神療法に属することになるだろうか。また支持的精神療法ではこれらの分析的であることの定義はむしろ抑止されるという姿勢を取っている。このKernberg の古典的な態度もまた藤山氏のそれに相当する。それはそれなりに一つの立場と言えるが、それが一定のコンセンサスを得ていたかというと不明である。
ちなみに米国精神分析協会APsAのホームページには以下のように書いてある。
「精神分析的支持療法は、治療指針は基本的には精神分析の理論と技法に基づく。第一の違いは分析に比べて頻度が低いということであり、時には週に一度しか会わない。精神分析と同様、セッションの頻度は患者のニーズに応じてカスタマイズされなくてはならない。もう一つの違いは患者は通常はカウチを用いず対面で行うことである。」