2025年5月15日木曜日

パニック 推敲の推敲 1

もう何週間も書いている学術論文。結構忍耐力が必要だ。なかなか完成しない細密画を書いている感じ。 やはり好きでないとできないことか。


精神分析的・力動的な立場からのパニック・不安の理解 

はじめに


 本稿は精神分析的、精神力動的な立場からパニック・恐怖と不安の理解と対応について論じる。なお本号で並行して寄稿される認知行動療法、森田療法、ポリヴェーガルの立場との違いを明らかにすることも求められている。

 まず最初にこの論考のタイトルを「精神分析的・力動的 な立場から」とした理由について述べたい。現代の精神分析はトラウマ理論、愛着理論、脳科学等の様々な分野を包摂する傾向にあり、より広く精神力動学 psychodynamics と呼ぶべき分野に匹敵している。精神力動学は「生物学的心理的社会的」という包括的な概念であり、フロイトの精神分析理論に代表される葛藤モデルには留まらず、いわゆる欠損モデルないしはトラウマモデルをも含みこむ(Gabbard p.4)。本稿のテーマであるパニックや不安はまさにそのような包括的な立場からとらえるべきなのであると考える。


フロイトの不安の概念

 (以下略)