最後は人間性で直す?
私は常日頃から思うのだが、真の治癒機序は人間性なのだ。日本の精神分析で押しも押されもせぬリーダーたちはみなある種の人間的な大きさを備えている。彼らの行う解釈はその人間性のオーラを纏っているのだ。彼らの様にふるまい、彼らの様に解釈をすることで彼らの様に患者を変えることはできない。平凡な、しかし誠実な臨床家のためにPOSTはあるのだ、と言いたい。
しかし私は反精神分析、ではない 最後にPOSTにエールを送る私は、それでも「反精神分析」ではないことは改めて述べておきたい。私は分析家であるし、週4,5回のセッションを経験することはとても貴重でぜいたくな体験であると思う。これ以上は昨今の「週一回」の議論に関わることなので、別の機会にゆっくり論じたいところだが、私は治療は高頻度であるに越したことはないという立場だ。治療とは偶発性に満ちた出会いとエナクメントの場であり、週4回の方がそれらが生じる可能性は相対的に高くなろう。 しかし数少ないセッションでも貴重な出会いが生じることはあるだろうし、その意味で週4回の精神分析でしか得られないものはないと思う。そしてこの出会いとエナクトメントを中心に据える事こそ現代的な意味で「精神分析的」ということであり、その意味では週一回でも支持療法でも立派に「精神分析的」たりえるのである。
(以下省略)