岡野憲一郎のブログ:気弱な精神科医 Ken Okano. A Blog of an insecure psychiatrist

精神科医が日常的な思いつきを綴ってみる

2021年6月7日月曜日

どのように伝えるか 推敲 1

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  本論文では解離性障害の当事者に対して行う「実感と納得に向けた病気の説明」について論じるが、その背景には最近米国で論じられることの多い「共有意思決定Shared decision making (SDM)」という概念がある。これはいわゆるインフォームドコンセント(説明をした上で...
2021年6月6日日曜日

嫌悪 6

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  昨日の続き。でも身体的な苦痛は記憶とは関係ないのだろうか? おそらくその一つの典型例は嗜癖なのであろう。例えば薬物依存の場合、その耐性のメカニズムは確実に記憶に類似する。使用するにしたがって耐性が付いてくるという現象は、離脱がそれまで使用することによって得られた快の積分値に応...
2021年6月5日土曜日

母子関係 推敲 3

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 この文章は、一見極端で意味が通じにくいが、誰かに「ありがとう」という事には気恥ずかしさが伴うことは確かだ。そしてこのVivesのいう恥を「負い目」と読み替えるのであれば意味が通じる。他人から何かをしてもらうことで恩恵を被るという事は、自分の中の不足な部分、至らない部分を認めるこ...
2021年6月4日金曜日

嫌悪 5

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不快の解消は快なのか?  不快や苦痛の問題でいつも私を悩ませるテーマがある。それは不快の解消がどうして快なのか、という事だ。これは「快楽原則」(人は本来的に快を追求する)と「不快原則」(人は本来的に不快を回避する)との関係性の問題と言ってもいい。  最近USBメモリーを一つダメに...
2021年6月3日木曜日

母子関係 推敲 2

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精神分析的アプローチと土居の甘え理論  精神分析理論を振り返れば、その創始者フロイトは、母子関係にはかなり画一的な見方をしていたといえる。フロイトは乳幼児、ことに男児は早くから母親に対して性愛的な感情を抱き、それを父親によりそのような願望の禁止を余儀なくされるという理論である。た...
2021年6月2日水曜日

嫌悪 4

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  こうなると私の頭を時々かすめては否認されている考えがまた浮かんでくる。「人は自分が不幸な境遇にあると思うから苦痛を感じるのではないか?」もしそうだとすると、安楽な生活を知った私たちは、もしかしたら古代人よりも苦痛を体験することになりはしないか。本来なら体験することが出来る安楽...
2021年6月1日火曜日

嫌悪 3

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 一つ言えることは、100年前、いや200年前に比べて私たちは格段に快適な生活を送っているはずであるということだ。電気もなく、水道もなく、冷暖房もない時代に生きていることを想像しよう。もちろん電話もスマホも何もない。わたしたちはおそらく日常生活を送るというそれだけのために大きな労...
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自己紹介

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ken Okano
1956 Born in Chiba, Japan. 1982 Graduated from Tokyo Univ.Med.School. 1989~1993 Trained at Menninger School of Psychiatry. 2000. Board Certified psychiatrist in US. 2004~2014 Professor at International University of Health and Welfare, Tokyo. 2014~ Professor at Kyoto University, Graduate School
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