岡野憲一郎のブログ:気弱な精神科医 Ken Okano. A Blog of an insecure psychiatrist
精神科医が日常的な思いつきを綴ってみる
2025年4月8日火曜日
支持療法を支持する 4
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最後は人間性で直す? 私は常日頃から思うのだが、真の治癒機序は人間性なのだ。日本の精神分析で押しも押されもせぬリーダーたちはみなある種の人間的な大きさを備えている。彼らの行う解釈はその人間性のオーラを纏っているのだ。彼らの様にふるまい、彼らの様に解釈をすることで彼らの様に患...
2025年4月7日月曜日
支持療法を支持する 3
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私が2年前にPOSTという試みの話を聞いた時、「マジか?」と正直思った。 分析を学び実践する若手の間でそのような動きが起きるとはにわかには信じられない。あの支持療法の議論に精神分析の内側から真正面から取り組むなど、なんて大胆で向こう見ずなのだろう、と。でも結局はこのPOSTの議論...
2025年4月6日日曜日
不安とパニックと精神分析 11
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ルイス・コゾリノの本に書かれているパニックに関する記述は意外にそっけない。「パニックにおいては人ははしばしばストレスや葛藤とパニックの関連性に気が付かない。なぜならそれらの関連性は神経的な隠れ層 hidden neural layers にあるからだ」(p243)。ここで彼の...
2025年4月5日土曜日
不安とパニックと精神分析 10
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さて以上を下敷きとして、本論の中心テーマであるパニック、恐怖と不安について考えてみよう。おそらくフロイトの現実神経症の記述にみられる極端な性欲論に基づいた理解はなされていないであろう。ただし性愛性に関しては実はトラウマ関連障害やフラッシュバックの問題と直結している。 パニック障害...
2025年4月4日金曜日
不安とパニックと精神分析 9
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ここでいったんおさらいをする。この論文の方向性がまだ見えてこない。 改めて執筆依頼文を読むと「精神分析の視座からの パニック・恐怖と不安 の理解と対応」とあり、パニック症に関する記載を詳しく、とある。そうか、その方向性で書かなくては。やはりこのような依頼文はしっかり読まなくて...
2025年4月3日木曜日
支持療法を支持する 2
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POST・支持療法が生まれるのは必然的であった さて私は支持療法についての議論がこのようにして生まれたことには必然性があったと思う。まず第一に週一回、ないしはそれ以下の頻度で(隔週50分、週一回30分、月に一度50分など)で行われる心理療法が圧倒的なマジョリティであり、そこで...
2025年4月2日水曜日
不安とパニックと精神分析 8
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Kendler(1992)らの研究では、恐怖症はいわゆるストレス―脆弱性モデルによくあてはまるという。つもり生まれつき気弱であることと同時に環境の要因が大きいということだ。特に17歳以前で体験する親の死や、過保護と同時に放棄する親の姿勢が大きな要因となっているという。また養育...
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