2019年9月15日日曜日

日本における母子関係 3


結論から言えば、SSPの研究はこれから下火になって行ったわけである。どうしてだろうか?日本でAがゼロで、Cが少し多かったという三宅の研究は、要するにそれが愛着の失敗を表しているというよりは文化差を表現しているという事になった。という事はこの研究の前提が崩されるというニュアンスがあった。要するにそれほど期待を持つべき手法ではない、という事になったのだ。またSSPを施行することそのものが子供にとってストレスであり、好ましくないという事も言われるようになった。結局日本の母子密着の議論はどうなっているのだろう?
 ところで私の子育ての話は途中だったが、私が妻と息子の密着度を見て心配になっていた時期から数年ほどして何が起きたかを話さなくてはならない。
(以下略)

 私の考えでは、子供は思春期を経て別の人間になってしまうのである。もちろんしっかりもとの癖や思考パターンを持っている。そしておそらく親と密着したいという願望を親の側から拒否されたという体験はない場合も多く、そうなるとむしろ「もう関わって欲しくない」というのが正直なところではないかと想像する。言い換えればこうである。愛着の問題に関しては、子供はそれを十分に提供してもらえなかったという気持ちを引きずりながら大人になるよりは、過剰な機会があり、食傷気味になって自分から出ていく、というパターンの方がより健全ではないか、という気がする。