サバン症候群が示す脳の宇宙 (3)
私がタメット氏に興味があるために、彼のことについで急いで書きすぎたかもしれない。もう少し話を戻そう。サバン症候群の興味深いことは、それが脳の障害とかなり密接な関係を持っているということだ。ある脳の障害を持つということは、それを担当する皮質が使われないということを意味する。するとそれをいわばフリースペースとして、別の能力が占拠することになる。知能の遅れと盲、そして天才的な音楽的な才能の三つがそろうケースは非常に良く知られているが、それは視覚が大脳皮質に閉めるエリアが非常に広いために、そこが使われない代わりに、音楽をつかさどるエリアが「張り出す」という現象が起きていると考えられる。私は脳科学の専門ではないので、細かいことは間違っているかもしれないが(我ながら情けないいいわけである)。
一つある原則的なことを述べよう。大脳皮質は実は一つのことに役割が分担されているわけではない。皮質は別のことにも使われる。これを「脳の地図は描きかえられる」ともいう。たとえばよく知られた幻肢(ファントムリム)という現象がある。手を切断した場合、すでに手の感覚はないはずなのに、顔をふれた時、同時にあたかも(すでにそこにない)手をふれられたような気がするという現象だ。これは手からの入力がなくなり、使われなかった皮質が、顔からの入力にも反応するようになったことになる。ここに一生懸命図を作ってみた。
この図は、顔をふれると切断されたはずの手を触られている感覚がするという事態をあらわしているわけだ。何しろ体はその神経細胞が刺激されると、それは手からの信号であるということを覚えているから、そのように感じ続けるわけだ。
「脳の中の幽霊」より |
No Title (11)
The
fate of TIP
I
would mention briefly the way in which TIP perished (I cannot choose any milder
expression) in 2001, which certainly involved my training. I finally graduated
from the institute in 2002, nine years after I was accepted to the program. I
was admitted to TIP, but did not graduate from TIP, but GKCP (greater Kansas
City Psychoanalytic Institute.) Upon closure, TIP joined the institute in
Kansas City, approximately one hour of drive from Topeka. Although this closure
was tragic, and so was the closure of Menninger Clinic (which then partially
joined the Bayler College in Houston, Texas.), I liked
the influence that TIP had from GKCP which was visible in many ways at TIP.
Although GKCP was a very young institute which itself was sponsored by TIP and
accepted their first candidate in 1996, it already had a very liberal ambiance,
with its heavy influence of self psychology and relational psychoanalysis. I
felt a very different and often very liberating experience when the lecture and
classes were given by the staff of GKCP who visited at TIP.