岡野憲一郎のブログ:気弱な精神科医 Ken Okano. A Blog of an insecure psychiatrist

精神科医が日常的な思いつきを綴ってみる

2025年1月31日金曜日

ビリーミリガンを超えて 1

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  アイパッドに入っている本や雑誌をいろいろ探しているうちに、25年前に出たユリイカ (2000年5月号、特集:多重人格と文学)を見つけ出した。そして懐かしの安克昌先生の「多重人格とは何か」という論文が出て来た。私も寄稿したのでこの号を持っているわけだが、44歳の時に書いたものだ...
2025年1月30日木曜日

統合論と「解離能」 20

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  まとめ  解離は一つの心の機能であり、それは能力(「解離能」)であると同時に、機能不全を起こすことで生活上の支障ともなりうる。そして治療の目標を統合に置く「統合主義」は、解離を病理としてのみとらえ、その解消を目的としているとは言えないだろうか? 解離能を考える立場としては、解...
2025年1月29日水曜日

統合論と「解離能」 19

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ということで、私はこの論考の冒頭でも紹介したある当事者の主張に戻りたい。 「解離は精神疾患であると同時に、サバイバルするための力でもある。」(p.1085)「解離が出来たからこそ生きのびることが出来たのであれば、それは能力であり、ゼロにしてしまう必要はないはずです。」(p.108...
2025年1月28日火曜日

統合論と「解離能」 18

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  このテーマについて考えるうえでとても参考になる論文を見つけた。RF. リチャードソンという人の「解離:機能的な機能不全」という論文である。 Richardson RF. (2019) Dissociation: The functional dysfunction. J N...
2025年1月27日月曜日

統合論と「解離能」 17

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解離能の問題 この話のとっかかりは、体外離脱体験(OBE)が示唆するものについてである。私はOBEを解離体験のプロトタイプと考えているが、それは統合不全、DBSの表れとして理解できるだろうか? そもそも体外離脱体験自身は一般人の数%の人が経験している。これは病的体験とばかりは言え...
2025年1月26日日曜日

統合論と「解離能」 16

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  ここら辺は繰り返しの「愚痴」のようなものになるが、統合派はそこに至るための「交代人格の有するトラウマの解決」とサラッと言いすぎる感がある。それは催眠の手技などにより簡単に達成できるのであろうか?一つのトラウマの解決だけでも長期的な治療目標となっているケースがあまりに多い。 催...
2025年1月25日土曜日

統合論と「解離能」 15

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統合についての考察  さてここでこれまでの議論をまとめてみよう。ISSTDの最新のガイドラインを見た限り、統合から協調に方針を転換していることはかなり明らかである。この論考のテーマからすれば、この点を確かめるだけでもある程度は目的を達成できたかもしれない。しかしあえて最近の解離の...
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自己紹介

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ken Okano
1956 Born in Chiba, Japan. 1982 Graduated from Tokyo Univ.Med.School. 1989~1993 Trained at Menninger School of Psychiatry. 2000. Board Certified psychiatrist in US. 2004~2014 Professor at International University of Health and Welfare, Tokyo. 2014~ Professor at Kyoto University, Graduate School
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