岡野憲一郎のブログ:気弱な精神科医 Ken Okano. A Blog of an insecure psychiatrist
精神科医が日常的な思いつきを綴ってみる
2019年8月13日火曜日
神経ダーウィニズムと揺らぎ 5
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さてここで重要な点は、大脳皮質の表面でダーウィン的な競争が行われるためには、そこでは臨界状況が生じていなくてはならないということである。逆に言えば、臨界にないときの人の心にはダーウィン則は必ずしも働かないということだ。では私たちの心が臨界になるのはいつで、いつではそうではない...
2019年8月12日月曜日
神経ダーウィニズムと揺らぎ 4
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例えば一角(イッカク)という奇妙なクジラをご存じだろう。一角が生まれたのは環境に適していたからだろうか ? 一角が角のような、しかし実は切歯が進化したような棒をタラの群れに対して振り回してたまたま打たれて弱ったタラを捕食するという得意技を身に着けていたとしても、それが生存に役...
2019年8月11日日曜日
神経ダーウィニズムと揺らぎ 3
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神経ネットワークについて書き始めたこの文章を最初から読み直すと、われながら結構わかりにくい。このままだと「大脳皮質によって決定されることは、最も大きな報酬系の刺激を起こすものであり、だから決定論的である」という風に読めてしまうかもしれない。つまりそこに揺らぎとかいい加減さとか...
2019年8月10日土曜日
揺らぎと死生学 3
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フロイトはちゃんと諦めていないから未練が残るんだ、ということを言っている。でもフロイトには失礼だが、それは理想論過ぎる、というのが一般的な反応ではないだろうか。美しさは、失われてしまうことを十分に受け入れた場合にこそ本当の美しさがわかる、要するに美が失われるのを嘆くのは、諦め...
2019年8月9日金曜日
神経ダーウィニズムと揺らぎ 2
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その時起きているとカルヴィンが主張するであろうことは、カレー派とハヤシ派に分かれていた六角形のテリトリー同士の勢力争いが起き、最後に勝った方が選ばれるというプロセスが大脳皮質で起きているという事なのだ。 さて最後にカレーが勝ったという想定で論じたが(しつこいようだが、別に...
2019年8月8日木曜日
神経ダーウィニズムと揺らぎ 1
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神経ダーウィニズムという名のゆらぎ理論 ウィリアム・カルヴィンという凄い学者がいる。この分野に関しては彼の「大脳のコード The Cerebral Code: 」( 1996 年、未邦訳)ほどすごい本はないと私は思っている。彼は大脳の表面で、ちょうど結晶ができかかっている...
2019年8月7日水曜日
揺らぎと死生学 2
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以下の部分は、7月12,13日に掲載した「フロイトと揺らぎ」との重複部分がある。 この様に少なくとも理論においては揺らぎの少ないフロイトであったが、彼が 1916 年に発表した「儚さについて」という短いエッセイはむしろ例外的といえるだろう。このエッセイはフロイト全集で...
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