POSTにおける解釈の意味について考えよう。それが転移を扱うか否かの問題はとても重要なのだ。POSTにおいては「『無意識の意識化』や内省の促進を期待するのではなく」、「『前意識の意識化』によって自分自身や自分のパターンの認識が広がり、結果として他のPOST技法と同じく発達促進的に作用する」事を目指すという(p178)。そしてここでPOSTにおいて用いる解釈について、「心に留め置く」解釈と「伝える」解釈を区別する。 そしてこの辺は少しややっこしいが、「心に留め置く解釈」には「今、ここでの転移解釈」が、「伝える解釈」には一般的な解釈や転移外解釈が含まれる。この伝えるか伝えないかに関しては、Roth(2017)のレベル1~レベル4の転移解釈のレベルの考えを援用している。1、とは転移外解釈、2は非特異的転移解釈、3は今、ここでの特異的解釈、4は逆転移を含みこんだ理解に基づく3,ということになる。このレベル1→4とは結局どれくらい深いか、どれくらい無意識レベルに踏み込んでいるか、ということになる。そしてPOSTが、1,2についてのみ「伝え」、3,4は「心に留め置く」ということは、1,2は前意識レベル、3,4は無意識レベルということになる。 ここで少し理解しずらいのは、「今、ここ」の解釈は3に属するからPOSTでは扱わない、という点である。たとえば「だれかにそばにいてほしいと思っていたのですね」は2,だが「ここで私にもそばにいてほしいと思っていたのですね」だと3になり、それは伝えない、ということになる。これは少し画一的すぎるという考え方も成り立つであろう。今ここで、ということをGill が言い出した時、それはもっとも切実かつ情緒的な意味合いを持つものとして論じられたはずだ。それをPOSTでは用いないというのは少しもったいない気もするのである。