2022年12月9日金曜日

デフォルトモード 5

  臨界状態とはある状態になりそうでならないぎりぎりの状態と言っていいだろうか。臨界状態について一つのイメージを差し上げよう。私はこれを想像して納得することが出来た。シャーレに水を入れて温度をどんどん下げていく。そして水面の様子を観察するのだ。温度がゼロ度になると水はいつ氷結してもいい状態になる。その時水の分子の小さな結合体があちこちに出来上がる。そのうちあるものは隣の氷結グループと合体してどんどん大きくなっていく。上手くその瞬間をとらえたなら、シャーレの表面は水の分子の結合状態から数百、数千…何億の結合状態までの一そろいが見られる。これが臨界状態である。しかしそれも一瞬でわずかな時間の後に氷がすべての表面を覆ってしまうであろう・・・。
 実際にはこんなにうまくは事は運ばないようである。ゆっくり温度を下げていくと水は氷点下でも過冷却の状態になり、液体のままに留まる。そこにちょっとした振動が加わると一気に氷結が全体に及ぶ。つまり臨界状態は極めて短時間に終わってしまうことになるのだ。

臨界状態にある脳とはこの、いつ何が生じてもおかしくない状態と考えることが出来るのである。