2021年4月12日月曜日

解離性健忘 5

書いていて最も楽しくない部分である。

さてDSM-5では以下に危険要因と予後要因、遺伝要因と生物学要因、経過の修飾要因、文化に関連する診断的事項、自殺の危険性、解離性健忘の機能的な結果、と細かい項目が続いた後、鑑別診断として膨大な記載が続く。まあこれらは「疫学」としてまとめられようか。DSMの記載をとりあえずは剽窃にならない程度にまとめてみよう。(もちろんそこからリライトをするわけだが。)

疫学その他

「解離性健忘に先立って何らかのトラウマやストレス体験が生じていることが多い。戦闘、小児期の虐待、抑留などの単回の、ないしは複数回のトラウマが関与している可能性がある。解離傾向などの遺伝的な負因も関与している可能性がある。なお高度に抑圧的な社会では文化結合症候群などに結びついた解離性健忘に明確なトラウマが関与していない場合がある。」

あれ、こんなに短くなってしまった。つまり解離性健忘には疫学的に明確でないことが非常に多く、教科書に記載することが出来る内容が結局少なくなってしまう。そこでこれらはあとで付け加えるとして、先を急いで、鑑別診断に行ってみよう。

鑑別診断

解離性同一性症: DIDにおいても、主人格に代わりある特定の人格が一定期間表に出たのちに背景に退くという事が起きる場合は、解離性遁走に類似した臨床像を呈することがある。特にその人格が精緻化されていず、その出現が統制を受けない場合にそれが該当する。ただしその場合は他の明確な交代人格が存在することを確かめることで解離性遁走との区別がつく。

 神経認知障害: いわゆる認知症に伴う健忘の場合は、健忘はその他の神経学的な所見、すなわち認知,言語,感情,注意,および行動の障害の一部として生じる。埋め込まれている。解離性健忘では,記憶障害は本来自伝的情報についてであり,知的および認知的機能は特に障害されないことが特徴である。

物質関連障害群: アルコールまたは他の物質・医薬品による度重なる中毒という状況において,“ブラックアウト"のエピソード,すなわちその人が記憶を失う期間があるかもしれない。

頭部外傷後の健忘: 頭部外傷により健忘が生じることがある。その特徴としては,意識消失,失見当識,および錯乱,等が見られることである。さらに重度の場合には,神経学的徴候(:神経画像検査における異常所見,新たな発作の発症または既存の発作性疾患の著しい悪化や視野狭窄,無嗅覚症)が含まれる。

てんかん: てんかんの人は,発作中,または発作後に引き続く健忘に伴う形で、無目的の放浪などの複雑な行動を示すことがある。解離性とん走の場合はより目標指向的で,数日間~数か月間続くことがある。