2020年6月10日水曜日

ICD-11における解離性障害の分類 4


もう一つ大事なことは、ICD-11の解離性障害は、その前身であるICD-10の解離性障害を、やはりある程度は踏襲しているということだ。つまりDSMをライバル視している部分があることになる。それでも両者は近づいている。DIDという呼び方も共通になったし、離人・非現実感障害が解離性障害に入ったし、解離性遁走が解離性健忘の下に位置付けられたこともやはり両者の共通となった。ただしICDといえるのは、複雑性解離性侵入障害(もとい、部分的DID)があり、また転換性(もとい、神経症状症)を解離性障害の中に含みこんでいる点はICDに特徴といえる。
この神経症状症の扱いは一つの争点となるわけだが、これを解離に入れないというDSM-5の方針は、批判を受けている、とこの論文(Malhotra N, Gupta N. 2018)に書いてある(P47)。またDSMと同様に転換性障害という言葉を省いたことは、一種のスティグマを排除したことになる、というのも大事だ。それと結局ICD-11でも文化結合症候群に手を付けていないということは問題であるという(P47)。この点は重要だ。Latahなどの症状は結局解離といえるかさえ議論があるという状態なのだ。
以上で総論は終わり。
<各論>
解離症は、同一性、感覚、知覚、影響、思考、記憶、身体の動きに対する制御、または行動のうちの1つ以上の正常な統合における不随意の中断または不連続によって特徴付けられる。中断や不連続は完全かもしれませんが、より一般的には部分的であり、日ごとに、あるいは時間単位で異なります。解離症の症状は、禁断症作用を含む薬物または物質の直接的な影響が、別の精神的、行動的、または神経発達症、睡眠後遺症、神経系の病気または他の健康受け入れられた文化的、宗教的、精神的な習慣の一部ではない。解離性疾患における解離性症状は、個人的、家族的、社会的、教育的、職業的または他の重要な機能領域において著しい障害をもたらすほど十分に重篤である。