2017年5月2日火曜日

カオスの淵 ②

 心の非線形性とはどういう意味か。例えば株の話が分かりやすい。比ゆ的な意味である会社Aの「株が上がった」、つまり評価が上がったとしよう。例えばA社が新たな画期的な商品を開発したというニュースがちょうど報道されたのだ。この時(実際の)株価も上り調子であると皆が思うだろう。するとそれが上りきる前に買っておこうとする。ところが株価が実際に上昇しだすと、A社の株の実際の価値(それがわかったら苦労しないのだが)にすでに至って、株価の上昇がやがてとまるだろうと人は考え、株を買い控え、今度は株価が下がり始めるであろうという時には株を売りに出すことになる。もちろんこれがすべて計画通りに行えれば、その人は株で益を出し続けて大儲けをするであろう。ところが問題は、皆が同時にこれをやるということだ。いやより正確に言えば、皆が他人より半歩先にこれをやろうとする。そしてここが株価が概ねにおいて予想不可能であり、ランダムウォークをする理由なのだ。
 話を分かりやすくするために、投資家を二人にしてしまおう。AさんとBさん。それぞれが相手の動きを読みつつ動く。株価とにらめっこをしてちょっとでも上がるとAさんは「Bのやつ、買い続けているな」と思いそれに乗るつもりで株を買うが、「Bのやつ、そろそろ買うのをやめるだろう」だと思うと株を買うのをやめ、逆に売る方に転じる。その間Bさんは「Aのやつ、俺がこのまま買い続けると思っているだろうな。」そして裏をかく形で株を買うのをやめる。ところが実はAさんはその裏を読む形で、「Bのやつ、俺の裏をかいて株を買うのをやめようとするんじゃないかな。じゃ、おれはその裏の裏をかこう。」となる。ところが実はBさんは「Aの裏の裏の裏をかいてやるか」とも思っているのだ・・・。これってフラクタルではないだろうか? コッホ曲線を顕微鏡で拡大していくようなものだ。 そしてその動きは結局ランダムになる

コッホ曲線