2015年4月8日水曜日

あとがき

本書は私の解離に関する臨床研究の●冊目のモノグラフである。解離性障害についての本格的な臨床を開始してもう10年以上が経過しているが、これらの●冊には私が解離を考える上での思考の流れが示されているといえるかもしれない。私の日常はしかし、解離の理論の発展というよりは、日々の臨床での驚きの連続といえるかもしれない。どの症例も初診でであった後に何らかの感慨を持つことのないケースはない。それほどに解離の臨床はケースごとにその様々な諸相を示してくれるとともに、そのなぞの深さをも認識させてくれる。
私の解離に関する本については、症例が出てこないという点は認めなくてはならない。しかしどうしても個人的な問題についてかけないのである。ただしそこから積み上げたエッセンスを盛り込んでいるつもりである。
今回このような形で本書にすることが出来、今さならながらそのような機会を与えてくれる岩崎学術出版社に感謝の意を表したい。私に多くの刺激を与えてくれている患者さんたちおよび大学院生、研究会のメンバーの皆様に感謝をしたい。

                      平成27年 晩春 著者